ボタン基板構造とは何か|技術・構造白書

ボタン基板構造とは

ボタン基板構造(Button Board Structure)とは、パチンコ・スロット機における操作ボタン部の電気回路基板およびメカニカル構造を指す。
スタート・決定・メニュー・サービスなどの操作信号を制御基板へ送る役割を担い、耐久性・応答性・感触品質のすべてを左右する要素である。

基本構成

ボタン基板は、一般的に以下の部品から構成される:

  • 操作スイッチ(タクト/メンブレン/マイクロスイッチ)
  • LEDインジケータ(点灯・点滅制御用)
  • 接続コネクタ(メイン基板またはI/O基板へ)
  • 防塵・防水用ラバーカバー
  • 樹脂製マウントフレーム

スイッチ構造は用途に応じて異なり、タクトスイッチはコンパクトで応答性に優れ、メンブレン型は耐久性が高い。

回路設計と信号処理

ボタン基板は、複数のスイッチ入力をマトリクス回路でまとめ、制御基板側でスキャンして識別する方式が多い。
回路例を以下に示す:

ROW1 ─┬─SW1──COL1 ├─SW2──COL2 └─SW3──COL3ROW2 ─┬─SW4──COL1 └─SW5──COL2

この構成により配線本数を削減でき、複数ボタンの同時押下にも対応可能となる。

ノイズ対策と信頼性

操作信号は人体静電や誘導ノイズの影響を受けやすいため、次の対策が施される:

  • スイッチ入力部へのRCフィルタ挿入
  • GNDプレーン拡張によるシールド
  • 静電対策ダイオード(ESD保護)
  • 入力チャタリング防止のソフトウェアデバウンス処理

これにより、誤入力や一時的な誤動作を防止する。

メカ構造と押下感

ボタンの押下感は操作品質に直結するため、ストローク量と反発力が精密に調整される。
主な構造形式は次の通り:

形式押下感耐久性
タクトスイッチ型カチッとした明確なクリック感約50万〜100万回
ラバーコンタクト型柔らかく静かな操作感約200万回
ドームシート型軽快で高速連打に適す約300万回

耐久試験はJIS C 60068準拠で実施され、一定荷重・回数での導通確認が行われる。

LED制御と演出連動

ボタン基板にはLEDが組み込まれ、押下時や演出中に点滅・発光色変化を行う。
PWM制御により明るさを調整し、サブ基板やメイン制御ROMと同期して点灯タイミングを制御する。

保守と交換

スイッチ接点の導通不良やLED切れが発生した場合、基板単位での交換が基本である。
フレキシブルケーブルや樹脂爪で接続されているため、分解時は静電防止手袋を使用する。
また、交換後には動作確認モードで全ボタン応答を検査する。

最新技術動向

近年は、容量式タッチボタンを搭載した「非接触型ボタン基板」も登場している。
押下物理動作を伴わず、表面ガラスや樹脂越しに操作できるため、防塵防水性と耐久性が大幅に向上している。

まとめ

ボタン基板構造は、遊技機の操作性・信頼性・演出品質を支える中枢要素である。
精密な回路設計とメカ設計を融合させることで、長期間安定した操作応答を維持することができる。

監修:野口智行(有限会社グローバルスタンダード)
この記事は「技術・構造白書」シリーズの一部として、電装・制御基板領域におけるボタン基板構造技術を専門的に整理したものです。