耐久テスト方法とは何か|技術・構造白書

耐久テスト方法とは

耐久テスト方法(Durability Test Method)とは、パチンコ・スロット機における各種機構部品・電子回路の長期使用に対する信頼性を評価するための試験手法を指す。
遊技環境における振動・温度・電圧変動・操作負荷などを模擬し、製品寿命と安全性を検証する工程である。

試験目的

耐久テストの主目的は、長期間の稼働において性能が維持されるかを確認することである。
これにより、以下の信頼性指標が得られる:

  • 構造部品の摩耗・変形の有無
  • 電装系統の通電・熱劣化耐性
  • 可動部の動作精度・応答性維持
  • 故障率(MTBF)の算出

主な試験区分

試験名対象内容
機械的耐久試験レバー・ボタン・扉ヒンジ等繰り返し操作・摩耗確認
電気的耐久試験基板・ヒューズ・リレー連続通電・過電流試験
熱サイクル試験電装・樹脂部品−10〜60℃間の反復加熱冷却
振動衝撃試験筐体全体ホール搬送時の揺動再現
環境試験全機構湿度・粉塵・腐食試験

評価基準

耐久試験では、以下の基準をもとに合否を判定する:

  • 外観異常なし(亀裂・変形・変色がない)
  • 電気特性が規定範囲内(±5%以内)
  • 動作応答時間の変化が±10%以内
  • 異音・摩擦異常なし
  • 発熱量が規格値以下(表面温度70℃未満)

これらを満たさない場合、再設計または材質変更が検討される。

試験装置と条件

耐久テストで使用される代表的な装置:

  • サイクルテスター(自動押下・回転動作試験)
  • 恒温恒湿槽(環境再現装置)
  • 振動試験機(XYZ三軸対応)
  • 電源変動シミュレーター(過負荷再現)
  • データロガー(電流・温度記録)

試験時間は通常100〜1,000時間に設定され、想定寿命(5〜10年)を短期間で再現する。

データ解析と寿命推定

試験後は、破損や性能劣化の統計データをもとに寿命推定を行う。
代表的な解析法には以下がある:

  • ワイブル解析(故障確率分布算出)
  • 加速寿命試験法(Arrheniusモデル適用)
  • MTBF(平均故障間隔)評価

これにより、製品寿命曲線(バスタブカーブ)の安定領域が定義される。

最新技術動向

近年はAI画像解析を用いた自動判定システムが導入され、摩耗・変形をリアルタイム検出する「スマート耐久試験」が普及している。
また、デジタルツイン技術により、試験結果を仮想モデル上で再現・検証する取り組みも進んでいる。

まとめ

耐久テスト方法は、遊技機の品質保証と安全性を支える基盤技術である。
精密な試験計画と解析により、長期安定稼働を実現する設計フィードバックが可能となる。

監修:野口智行(有限会社グローバルスタンダード)
この記事は「技術・構造白書」シリーズの一部として、評価・検査領域における耐久試験技術を専門的に整理したものです。