放熱板とは何か|技術・構造白書

放熱板とは

放熱板(Heat Sink Plate)とは、パチンコ・スロット機内部で発生する熱を効率的に拡散・放出するための金属製冷却部品である。
主に電源トランス、パワーIC、LEDドライバ、モーター駆動回路などの高発熱部に取り付けられ、筐体全体の温度上昇を抑制する。

構造と素材

放熱板は高熱伝導性を持つ素材で構成され、形状や表面処理によって放熱性能が最適化される。
主な構成:

  • 素材:アルミニウム(A5052/A6061)、銅(C1020)
  • 表面処理:黒アルマイト、ニッケルメッキ、放熱塗装
  • 厚み:1.5〜3.0mm(用途により異なる)

黒色アルマイト処理は放射率を高め、輻射放熱効果を向上させる。

放熱原理

放熱板は「伝導」「対流」「輻射」の三要素により熱を拡散する。

発熱源 → 放熱板(伝導) → 空気流(対流) → 周囲環境(輻射)

熱抵抗(θja)を低下させるため、発熱素子と放熱板間には熱伝導グリスやサーマルパッドを介在させる。

設計パラメータ

項目基準値備考
熱伝導率200〜400 W/m·Kアルミ/銅素材
放射率0.7〜0.9黒アルマイト処理時
表面積比1.0〜2.5倍発熱面積との比率
空気流速1.0m/s以上冷却ファン併用時

放熱板はこれらの条件を満たすことで、温度上昇を約30〜50%低減できる。

形状設計と取り付け

形状は使用環境により以下のタイプが用いられる:

  • 平板型(汎用・狭小空間用)
  • フィン型(高発熱部・高効率放熱)
  • L型/U型(筐体補強兼用)
  • ヒートパイプ一体型(高密度実装対応)

取り付けはネジ・クランプ・熱伝導接着剤で固定される。
取り付け面の平滑度は0.05mm以内が推奨される。

評価と点検

放熱性能は熱電対およびサーモグラフィで測定される。
評価項目:

  • 温度上昇試験(通電後60分の最大値)
  • 熱抵抗値算出(ΔT/消費電力)
  • 熱伝導材の劣化チェック
  • 固定トルク・緩み確認

放熱不良がある場合、表面酸化や接触不良が原因となることが多い。

最新技術動向

最新の放熱板にはナノカーボンコーティングやグラフェン層を採用した高効率型が登場している。
また、CFD解析に基づいた「最適フィン構造設計」が導入され、従来比1.5倍の放熱性能を実現している。

まとめ

放熱板は遊技機の発熱管理における中心的構造部であり、電装寿命と安全性を左右する。
適切な素材選定と表面処理、熱解析設計により、安定した放熱性能を維持できる。

監修:野口智行(有限会社グローバルスタンダード)
この記事は「技術・構造白書」シリーズの一部として、電装・制御基板領域における放熱設計技術を専門的に整理したものです。