📘 リード：
1970年代後半〜1980年代、パチンコは「玉の物理」を楽しむ遊技から、内部抽選という知的な興奮へ――。
その変革の中心にあったのが権利物（けんりもの）です。羽根モノとデジパチの狭間で生まれたこの時代は、のちのデジタル抽選・確変システムの礎を築いた転換点でした。
🎯 序章：玉の物理から「抽選」という思想へ
従来のパチンコは、玉が役物に入る“物理の遊び”。そこに権利物は、内部抽選による「大当たり権利」を導入し、“運命を待つ遊技”へと姿を変えました。
この小さな革命が、のちのデジパチや確変など、現代パチンコの根幹システムへと連なっていきます。
🧩 第一章：権利物とは何か ― 「当たり」を設計する時代の幕開け
権利物とは、特定入賞口で内部抽選が発生し、当たり権利を獲得した台のみが一定回数の出玉を放出できる遊技機。
それまでの羽根モノのように「技術×偶然」で当てる構造から、「抽選＝確率と期待」が支配する構造へ。
- 🎯 プレイ感： 権利当選の「瞬間」を待つ緊張と高揚。
- 🔔 演出体験： ランプ点灯や効果音が「権利獲得」を明確に告知。
- 🧠 意味合い： “待つ時間”がエンタメ化し、物語性が生まれる。
盤面が一瞬光り、音が鳴る。その刹那、ホールの空気が変わる――。この“待つ体験”こそが後のデジタル抽選の原型でした。
⚡ 第二章：SANKYO「フィーバー」の衝撃 ― 抽選文化の誕生
1980年代初頭、SANKYOの「フィーバー」シリーズは、権利物時代の象徴にして革命機。
電子基板による制御、ランプ告知、効果音演出が「抽選の間」をエンタメに変え、遊技は“見せる娯楽”へ。
「ピカッ！」「ピロピロ！」――視線が集まり、歓声が上がる。
遊技機は単なる機械から、演出によって感情を設計するメディアへと変貌しました。
🤝 第三章：文化の民主化 ― 誰もが平等に楽しめる時代へ
権利物の登場は、パチンコを“技術の競技”から“運の文化”へと転換。
打ち出し技術に左右されにくい抽選システムは公平性をもたらし、初心者でもベテランと同じ舞台で夢を見られるようになりました。
- 🌱 心理変化： 「技術がなくても当たるかもしれない」＝希望が生まれる。
- 🎉 共有体験： 権利獲得の瞬間をホール全体で祝う文化。
- 🏙️ 時代性： 昭和の街角で愛された“運の共有”という娯楽スタイル。
🧠 結章：偶然を設計した時代
権利物時代は単なる過渡期ではなく、“偶然をどう楽しませるか”を設計した、遊技史上もっとも哲学的な時代でした。
「偶然を制御し、期待を演出する」――この理念こそが、後のデジパチ・確変・RUSHに受け継がれた源流である。
玉が入る、光が点く、権利が発動する――。それはもはや単なる機械の動作ではなく、
人と確率と時間が織りなす“抽選文化”の始まり。
権利物の時代こそ、パチンコが「運を体験する娯楽」として成熟した、黎明と革命の記憶なのです。
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監修：野口智行（有限会社グローバルスタンダード）
2003年創業・累計販売台数5,000台以上。遊技機流通・メディア事業の双方でE-E-A-Tを実践し、正確な知識と倫理性を発信。