導光板とは何か|技術・構造白書

導光板とは

導光板(Light Guide Plate, LGP)とは、LED光を板内部で反射・拡散させ、
均一な面発光を実現する光学部品である。
パチンコ・パチスロ機では、液晶周辺や盤面演出、ロゴ部照明などに使用され、
電飾の明るさ・ムラ・発色品質を決定する中核要素のひとつである。

構造と原理

導光板は、透明樹脂板内部で光を全反射させ、表面の微細ドットやパターンで光を外部へ放射する構造を持つ。
基本的な構成は以下のとおり:

  • LED光源(エッジライト方式)
  • 導光板本体(アクリルまたはポリカーボネート)
  • 拡散シート/プリズムシート(光均一化)
  • 反射フィルム(裏面光漏れ防止)

光源から入射した光は板内部を伝播し、ドット密度が高い部分ほど光を放出する。
これにより、均一な発光面が形成される。

素材と成形方法

導光板には高透過グレードのアクリル(PMMA)やポリカーボネート(PC)が使用される。
製造方法は主に以下の2種類:

  • 射出成形方式: 高精度ドットパターンを金型で直接形成。量産性に優れる。
  • シート転写方式: 成形後にレーザーやシルク印刷でドットパターンを付与。小ロット向け。

厚みは1.5〜5mmが一般的で、LEDの発光角度に応じて断面形状(台形/くさび型)を最適化する。

光学パターン設計

導光板のドットパターン設計は、発光ムラを防ぐための重要工程である。
典型的な設計方針:

  • LEDに近い部分:ドット密度を低く設定(光量多いため)。
  • 遠い部分:ドット密度を高く設定(光量補正)。
  • エリア演出型:特定形状をドットで描画(ロゴ・文字照明など)。

この設計は光学シミュレーションソフト(LightTools/LucidShape等)で解析される。

光源構成と駆動方式

導光板の光源はLEDモジュールで構成される。
主な構成要素:

  • 白色LEDまたはRGB LED
  • 定電流ドライバ回路(PWM調光対応)
  • 放熱基板(アルミベースPCB)
  • 光入射レンズ(拡散・指向制御)

LEDのPWM制御により、発光輝度と演出変化をリアルタイムに制御できる。

発熱と放熱設計

導光板は熱伝導が低いため、LED部の温度上昇が発光ムラを引き起こす可能性がある。
そのため、次のような放熱設計が行われる:

  • 導光板背面にアルミヒートシンクを設置。
  • LED基板にサーマルパッドを介して熱を逃がす。
  • 筐体内部にファンで空気循環。

温度センサー(サーミスタ)によって温度上昇を検知し、自動的に輝度を制限する制御も搭載されている。

演出との連携

導光板は液晶映像や電飾パターンと連動して発光する。
例えば:

  • リーチ演出時:導光板が波紋状に発光。
  • 大当たり時:RGB制御で金色グラデーション。
  • 特定ステージ:低輝度で常時点灯し雰囲気演出。

この制御はサブ制御基板からの同期信号(SYNC)で行われ、
演出全体の一体感を生み出している。

整備・交換のポイント

導光板の点検では、以下の項目を重点的に確認する:

  • 黄変や白濁(経年劣化・紫外線影響)
  • ドットパターンの摩耗や剥離
  • LEDの光量低下・不点灯
  • 放熱不良による焼け跡

導光板の表面研磨は光学性能を損なうため、
劣化が進んだ場合はユニット交換が推奨される。

リユース・再整備時の注意

中古再整備では、LED色温度のばらつきや導光板の黄変が発光ムラの主因となる。
再利用する際は、同一ロットLEDに統一し、反射シートを新調することが望ましい。
また、導光板の接着固定部は劣化しやすく、浮きや反りが発光ムラを悪化させるため要注意。

次世代技術

近年は、ナノドット加工による高効率導光板や、
エリア別に明るさを制御できる「分割制御型LGP」が開発されている。
さらに、有機ELバックライトとのハイブリッド構造も試験的に採用されており、
光の動きと立体感を融合させた新しい演出表現が進んでいる。

まとめ

導光板は、遊技機の光学演出を支える不可欠な構造部品であり、
LED・光学設計・放熱設計が融合した高精度な工業製品である。
その品質は演出の完成度と耐久性を大きく左右する。

監修:野口智行(有限会社グローバルスタンダード)
この記事は「技術・構造白書」シリーズの一部として、液晶・演出制御領域における導光板技術を専門的に整理したものです。