電飾パターンとは
電飾パターン(Lighting Pattern)とは、パチンコ・パチスロ機においてランプ、LED、導光体などを用いて
光の点滅・変色・流動を制御する演出システムのことを指す。
単なる装飾ではなく、遊技状態・大当たり・信頼度・操作誘導などを視覚的に伝える「情報伝達装置」としての役割を持つ。
基本構造
電飾パターンは以下の要素で構成される:
- LEDモジュール(単色またはRGB)
- 導光板・レンズ(光拡散用)
- 駆動基板(LEDドライバ・PWM制御IC)
- 制御信号ライン(I²C/SPI/UARTなど)
- 電源供給ライン(+5Vまたは+12V)
LEDの配置や導光形状により、光の流れや明滅速度を制御して多様な演出を実現する。
制御方式
電飾パターンの制御には、主に次の3方式が存在する:
- PWM制御: デューティ比を変化させて明るさを制御する方式。
- アドレッサブル制御: 1本のデータラインで複数LEDを個別制御(WS2812系)。
- マトリクス制御: 行列配線による複数LEDの同時駆動。
これらの制御方式は、サブ制御基板のLEDドライバIC(例:TLC5940/MBI5026など)によって実行される。
演出パターンの種類
電飾パターンは、遊技機の状態変化に応じて多様な点灯方式を持つ。代表的なものを以下に示す:
- 点滅型: 短周期のオン・オフを繰り返す(リーチ・入賞時)。
- フェード型: 緩やかな明暗変化(背景演出・ボーナス確定時)。
- 流動型: LEDを順次点灯し光の流れを表現(チャンス演出)。
- 同期型: 音声・液晶・役物とタイミングを揃えた制御。
- ランダム型: 疑似乱数による自然発光演出。
これらは演出制御チップ内のテーブルによりシーケンス管理され、
1フレームごとに明るさ・色・点灯時間が制御される。
信号構成と制御フロー
電飾制御の典型的な信号構成は次のとおり:
CMD_LAMP_PATTERN (ID)CMD_LAMP_COLOR (R,G,B)CMD_LAMP_FADE (speed)CMD_LAMP_OFF (ID)
演出基板から送信されたコマンドをドライバICが受け取り、
PWM波形を変化させることでリアルタイム発光を実現する。
1パターンあたりのシーケンス長は0.5〜3秒程度が一般的。
液晶・音声との同期制御
電飾パターンは単独ではなく、液晶映像やBGMと密接に連動する。
制御基板間の同期方式は「イベントフラグ制御」と呼ばれ、
各基板は次のような流れで同期動作を行う:
液晶基板:EVENT_TRIGGER (ID=リーチ)↓サブ制御基板:CMD_LAMP_PATTERN (ID=3)↓音声ROM:再生開始
この仕組みにより、視覚・聴覚・体感が同時に一致する高演出同期が実現されている。
電源設計と安全対策
LED電飾系統は+12Vラインを共用するため、ノイズや電圧ドロップの影響を受けやすい。
これを防ぐために、次の安全設計が施されている:
- 各系統に逆電流防止ダイオードを配置。
- 大電流用トランジスタによる電流制御。
- フェライトビーズによるノイズ除去。
- 過電流検知IC(OCP)の採用。
また、電源立ち上がり時の突入電流を抑制するため、ソフトスタート回路を実装している。
リユース・再整備時の注意
中古再整備時には、LEDモジュールの輝度低下・ハンダクラック・導光板黄変などがよく見られる。
輝度ムラが発生する場合は、LED単体交換ではなくユニット全体を交換するのが望ましい。
また、PWM駆動ICの故障は見た目では判断しづらいため、オシロスコープで波形確認を行う。
次世代技術
最近の機種では、アドレッサブルLED(WS2815等)によるピクセル制御が主流となりつつある。
これにより、1本の通信ラインで数百個のLEDを独立制御でき、
液晶映像と完全同期した「デジタル電飾」が実現している。
今後はAI制御による「演出自動最適化」への応用も期待されている。
まとめ
電飾パターンは、遊技機の演出表現を支える中核技術である。
PWM制御・同期信号・光学設計の三位一体により、
視覚的没入感と操作フィードバックを実現している。
関連サイト:スリーピース技術ガイド
電飾パターンの制御構造・同期信号設計・保守技術の詳細は、グループサイト
スリーピースドットネット(ppps.jp)
の光制御技術ガイドで詳しく紹介しています。