メダル検知センサーとは何か|技術・構造白書

メダル検知センサーとは

メダル検知センサー(Medal Detection Sensor)とは、パチンコ・スロット機において投入・通過するメダルを検知し、その枚数・種類・通過タイミングを制御基板へ伝達するセンサーである。
光学・磁気・誘導方式など複数の検出原理が組み合わされ、投入管理や不正防止の根幹を担っている。

構造と動作原理

代表的な検出方式は以下の3種である:

  • 光学式: 発光素子(LED)と受光素子(フォトトランジスタ)で通過遮光を検知。検出精度が高くメンテナンス性に優れる。
  • 磁気式: メダル材質の磁性反応を検知し、正規メダルと異物を区別。
  • 誘導式: 金属通過時の渦電流変化を測定し、導電率・厚みを解析。

多くの機種では光学+磁気のハイブリッド方式が採用され、誤検出やノイズ影響を最小化している。

信号出力とタイミング検出

センサー出力はパルス信号として制御基板に送られる。
パルス幅・間隔からメダルの通過速度を算出し、ホッパー制御やクレジット積算に利用する。

Vcc ─[R]─┬──→ CPU_INPUT  │  └─[Sensor]→ GND

この構成により、通過1枚ごとに1パルスが生成され、CPUがリアルタイムでカウントする。

設置位置と構成例

  • メダル投入口直下(投入確認)
  • セレクターユニット通過部(識別確認)
  • ホッパー出口(払い出し枚数検知)
  • 返却経路(リジェクト枚数検知)

これらのセンサーが連携して「投入→認識→払い出し→返却」の一連の流れを管理している。

ノイズと誤検知対策

メダルの反射率や照明環境によって誤検知が発生することがある。
そのため次のような対策が施される:

  • センサー窓の遮光構造(外光カット)
  • 周波数変調型発光(ノイズ耐性向上)
  • 出力信号のデジタルフィルタ処理
  • 経年劣化補正機能の搭載

さらに、入力側のシュミットトリガ回路で信号整形を行い、安定動作を保証する。

点検と保守

定期的なメダル検知センサーの点検は、遊技機の誤作動防止に直結する。
点検時は以下の手順を実施する:

  1. レンズ面の汚れを無水アルコールで清掃。
  2. 出力波形をオシロスコープで確認(規定電圧1.8V〜5V)。
  3. 遮光板で通過応答をテスト。
  4. 信号遅延や波形崩れを確認。

感度異常がある場合はユニットごと交換する。

最新技術

AI補正付きデジタルセンサーが開発されており、温度・汚れ・経年劣化を自動補正して常に一定の検出閾値を維持できる。
また、データログを蓄積して動作履歴を解析する「自己診断型センサー」も普及しつつある。

まとめ

メダル検知センサーは、遊技機の入出力制御を成立させる基礎構造である。
精度と安定性の高い検出を維持することが、正確な払い出し制御と信頼性確保に直結している。

監修:野口智行(有限会社グローバルスタンダード)
この記事は「技術・構造白書」シリーズの一部として、電装・制御基板領域におけるメダル検知センサー技術を専門的に整理したものです。