特図制御とは
特図制御(Special Symbol Control)は、パチンコ機における「大当たり抽選」を実行する中核制御領域である。普図制御(通常図柄)とは独立した抽選ロジックを持ち、主に電チュー入賞や特定のラウンド開放を契機として作動する。
この制御が正確に作動することで、出玉数・確変制御・時短挙動といった遊技の根幹が成立する。
特図制御の目的と位置づけ
特図制御は、遊技機の「特別図柄抽選」を担う部分であり、主に次の要素を管理する:
- 特図乱数の取得と判定
- 大当たりフラグの設定・保持
- 確変・時短状態の切替
- ラウンド数・賞球数制御への指令
- 液晶演出との同期管理
このように、遊技の「当たる・当たらない」を決める中枢が特図制御であり、その動作精度は検定試験で最も厳しく確認される領域の一つである。
抽選のトリガー条件
特図制御は通常、以下のトリガーによって発動する:
- 電チュー入賞信号(ソレノイド経由)
- 特定ラウンド終了後の再抽選
- 特図スタート信号(メイン基板から発行)
これらの信号をメイン制御ICが監視し、一定のタイミングで乱数を取得・判定して結果を確定させる。
乱数生成と抽選テーブル
特図抽選は、普図制御とは独立した乱数発生器(RNG)によって駆動される。
乱数は32bitまたは64bit単位で生成され、以下のようなテーブル方式で当選判定が行われる:
- 通常確率(例:1/319)領域
- 確変確率(例:1/99)領域
- 特別モード(遊タイム・時短再抽選)領域
このテーブル比較はROMに固定値として格納され、ソフトウェア更新では変更できない構造になっている。
特図メモリ構造
特図制御は独自のメモリスロットを持ち、複数の当選候補を保持できるよう設計されている。代表的なデータ構成は次の通り:
- 抽選ID/乱数値/当選フラグ
- 確変/通常モード識別ビット
- ラウンド情報(最大10Rなど)
- 保留メモリとのリンクポインタ
これにより、特図が発動中でも普図側の変動を独立して進行させることができる。
演出制御との連携
特図の結果は、液晶基板へ演出コードとして送信される。
大当たり・ハズレ・確変突入などの分岐を、サブ制御側が受け取り、映像・音声・役物駆動を同期制御する。
通信制御ICを介した送信にはCRCチェックが組み込まれ、データ破損防止と再送信機構を備える。
検定基準と制約条件
特図制御は検定制度上、最も厳密な制御領域とされる。主な制約は以下の通り:
- 抽選確率がROMで固定されていること。
- 特図抽選と普図抽選が確率的に独立していること。
- RAM初期化により抽選状態がリセットされること。
- 通信異常時は抽選を停止し、復帰後に再初期化されること。
これにより、出玉バランスの改変や外部操作の影響を防いでいる。
制御回路と電チュー連携
特図制御は電チュー開放制御とも連動しており、ソレノイド駆動のタイミング・開放パルス幅・電圧監視を統合的に管理する。
これにより、物理的な電チュー開放が抽選シーケンスと同期するようになっている。
リユース・再整備時の注意
中古機の整備では、特図制御ROMの劣化・通信遅延・電チューセンサーの応答不良が主なトラブル源となる。
特図制御の不安定化が見られる場合、以下を確認する:
- 特図ROMのチェックサム一致
- 通信ICの電源安定性(5V±0.2V)
- 電チューセンサーの応答波形(オシロ測定)
次世代制御の傾向
近年の機種では、特図制御をメインCPUの統合演算コア内で処理し、RAM共有によるリアルタイム判定が主流になっている。
また、AI乱数監視機能(内部テスト用)を備えた開発用基板も登場しており、出玉制御の透明性をさらに高めている。
まとめ
特図制御は、遊技機における「大当たり抽選」の核心であり、精密な乱数処理と厳格な検定基準のもとで動作する。普図制御との独立設計が、公正な遊技を実現するための基本構造となっている。
関連サイト:スリーピース技術ガイド
特図制御の乱数設計・ROM構造・電チュー連携の詳細は、グループサイト
スリーピースドットネット(ppps.jp)
の抽選制御技術ガイドで詳しく紹介しています。