役物センサーとは
役物センサー(Yaku-mono Sensor)は、パチンコ機に搭載される可動部(役物)の位置・動作・入賞状態を検知するための電子部品群を指す。フィギュア、アーム、ゲート、羽根など多様な可動ユニットの正確な制御を支える中枢的存在であり、遊技機の演出信頼性を決定する重要な要素である。
構造と検知原理
役物センサーは、可動範囲・用途に応じて複数の方式が採用される。主なタイプは以下のとおりである。
- フォトセンサー式: 光を遮断・反射して動作位置を判定する方式。非接触検知で摩耗がない。
- ホール素子式: 磁石の磁束変化を検出し、開閉や回転角度を判別する方式。羽根・アーム構造に多用される。
- マイクロスイッチ式: 機械的な接点動作を用いたシンプルな構造。ストローク位置の明確化に優れる。
- リミットセンサー式: 可動範囲の端点検知に使用。モーター制御との同期に必須。
これらのセンサーは、サブ基板に信号を送信し、メイン基板で位置・動作判定のフィードバック処理が行われる。
制御系との連携
役物センサーは単体で動作するのではなく、モーターやソレノイドなどの駆動系と一体化して制御される。センサーが動作位置を検出すると、その情報がサブ基板に入力され、タイミング信号としてメイン基板の制御ICに送られる。制御プログラムは、センサー入力をトリガーとして次の動作を決定する。
たとえば、羽根物機種では「羽根開放 → 球検知 → 羽根閉鎖」の一連動作をセンサーが逐次検出し、誤動作を防止している。これにより演出制御と入賞処理の正確な同期が実現される。
電子設計と信号処理
役物センサーからの出力は一般に5Vまたは12Vのデジタル信号で構成される。サブ基板ではプルアップ抵抗による安定化が行われ、ノイズ除去回路(ローパスフィルタ、シュミットトリガ回路)が付加される。これにより、電磁ノイズや静電気による誤検知を防止している。
メイン基板側では、センサー信号を割り込み処理として受け取り、リアルタイムにプログラム分岐を実行。タイミング精度は数ミリ秒単位で制御され、複数の役物が同時に動作しても干渉しないよう設計されている。
配置設計とメンテナンス性
センサーの取付位置は、動作機構の中心軸やリンクポイントに対して±0.5mm以内の誤差で調整される。誤差が大きいと検知タイミングがずれ、演出動作や入賞判定に影響を与える。取付部には位置決めピンや金属ブラケットが使用され、光軸ズレを防止する構造となっている。
整備時には、センサーの動作確認(LED点灯チェック)、出力電圧測定、反応遅延の確認を行う。ホール素子やフォトセンサーは経年劣化で出力が低下するため、出力電圧が規定値(5V系で4.5V未満)を下回る場合は交換対象となる。
技術進化と信頼性向上
近年では、従来の個別センサーから集約制御型(多点検知IC)の採用が進み、基板上で複数のセンサー信号を統合処理する構造が主流となっている。これにより配線点数を削減し、整備性と信頼性を向上させている。
さらに、自己診断機能付きの「スマートセンサー」も登場し、異常出力や応答遅延を自動検出する。これにより、ホール運用時のトラブル原因の特定が容易になり、安定稼働期間が延長された。
まとめ
役物センサーは、可動部の精密制御と演出同期を実現する電子技術の要である。検知精度・応答速度・ノイズ耐性のすべてが要求される高信頼設計が求められ、遊技機の安全性と品質を根底で支える存在である。
関連サイト:スリーピース技術ガイド
役物センサーの構造・交換・調整手順については、
グループサイト
スリーピースドットネット(ppps.jp)
のメンテナンス技術ガイドで詳しく紹介しています。