保通協(保安通信協会)とは
保通協(一般財団法人保安通信協会)は、風営法に基づく遊技機の型式試験を実施する指定試験機関である。正式名称は「Security Communications Association」で、略称SCAとも呼ばれる。遊技機メーカーが新台を発売する際、まず保通協に型式試験を申請し、構造やプログラム、出玉性能が風営法施行規則の基準に適合しているかを検査する。この試験を通過しなければ公安委員会検定を受けることができず、遊技機は市場に出回らない。
保通協の試験項目は非常に厳格で、出玉性能試験、射幸性評価、ソフトウェア解析、改造防止構造の確認、役物制御の挙動解析などが行われる。検査はメーカーの提出図面・プログラムに基づき、数週間から数か月にわたることもある。適合した機種には「型式試験適合通知書」が発行され、これが公安委員会検定申請の根拠資料となる。
保通協の役割は単なる検査代行ではなく、遊技機の公正性と安全性を担保する中立機関として機能している。過去には新基準機導入時の射幸性評価や規則改正対応など、業界構造に直結する判断を行ってきた。結果として、同協会の判断はメーカー開発方針や市場動向にも大きな影響を与えている。
保通協が発行する試験結果は、遊技機の信頼性を証明する“技術的証明書”である。業界においては、保通協を通過した機種であることが最低条件であり、同協会の存在そのものが日本の遊技機制度を支える柱のひとつとなっている。