ストップランプとは何か|技術・構造白書

ストップランプとは

ストップランプ(Stop Lamp)は、パチスロ機の各リール停止ボタンに内蔵された発光表示装置であり、
リール停止のタイミングやボーナス成立時の演出を視覚的に知らせるための機能を持つ。
また、パチンコ機の一部機種でも、入賞・抽選・演出タイミングを視覚的に補助する照光部として応用されている。

基本構造

ストップランプは、以下の構成要素で構成される:

  • 高輝度LED(単色またはRGB)
  • 拡散レンズ(導光板付き)
  • プリント基板(抵抗・制御IC内蔵)
  • ボタンユニット一体型ケース

LEDは指向角30〜60°のタイプが使用され、導光板により光を均一に拡散させる構造が一般的である。

制御回路と信号系統

ストップランプは、主に「サブ制御基板」または「ランプ制御IC」からPWM(パルス幅変調)信号によって制御される。
メイン制御基板からの点灯命令により、点灯・点滅・フェードなどのパターンを実現する。

制御信号の例:

CMD_LAMP_ON (ch=1)CMD_LAMP_FADE (speed=3)CMD_LAMP_BLINK (rate=60Hz)CMD_LAMP_OFF (ch=ALL)

PWM制御によって明るさを調整し、フェードやリズム点灯などの演出と同期する。

光学設計と色表現

ストップランプのLEDは、単色型(赤/緑/青)またはフルカラーRGBタイプがあり、
フルカラーLEDではPWM信号のデューティ比を組み合わせることで1,600万色以上の発色が可能となる。
光拡散にはPMMA(アクリル)やポリカーボネート製の導光レンズが用いられ、
光ムラを低減するためにマット加工が施されている。

演出との同期

ストップランプは、単なる押下確認用の照明ではなく、演出効果の一部としても機能する。
例えば:

  • ボーナス成立時のフル点灯
  • 特定図柄出現時の同期フラッシュ
  • 連続演出中のリズム点滅
  • プレミア演出時の虹色点灯

これらの演出は、音声ROMや液晶制御チップから送られる同期信号と連動して発光パターンが制御される。

電装仕様と耐久性

ストップランプのLED駆動電圧は5Vまたは12Vが一般的で、
定格電流は1灯あたり20〜40mA。寿命は50,000時間以上と長寿命である。
LEDの発熱を防ぐため、基板上に放熱パッドを設け、金属シャーシと熱結合させている。

ノイズ対策と安全設計

ランプ制御ラインには、ノイズ除去用のフェライトビーズや抵抗フィルタが挿入され、
PWM制御による電源リップルの影響を抑制している。
また、誤点灯防止のためにソフトウェア的なデバウンス処理も実装されている。

リユース・再整備時の注意

中古整備時には、LED劣化や導光板の黄変が発生していることがある。
黄変は紫外線・熱による経年劣化であり、透明レンズの交換または再研磨で回復可能。
また、ハンダクラックによる断線が多発するため、再ハンダ処理を行うのが望ましい。

次世代技術

近年の機種では、アドレッサブルLED(個別制御可能なRGB LED)を採用し、
1本の通信ラインで複数のストップランプを個別に制御できるようになっている。
これにより、音声や液晶映像と完全同期した複雑な発光演出が可能となった。

まとめ

ストップランプは、操作案内と演出表現の両方を担う重要なインターフェースである。
その光制御技術は年々進化しており、今後はLED制御ICと液晶制御チップの統合化が進むと予想される。

監修:野口智行(有限会社グローバルスタンダード)
この記事は「技術・構造白書」シリーズの一部として、液晶・演出制御領域における照明制御技術を専門的に整理したものです。