テストボタン位置とは
テストボタン位置(Test Button Position)とは、パチンコ・スロット機の内部検査操作を行うための「テストスイッチ」や「サービスボタン」の物理配置と設計基準を指す。
整備・検査・設定変更などの際に使用されるため、誤操作防止と作業効率の両立が求められる。
設置目的と機能
テストボタンは、通常遊技時にはアクセスできない位置に設けられ、次のような操作を可能にする:
- メイン基板・サブ基板の動作確認(テストモード起動)
- 遊技データ・統計情報のリセット
- 出玉試験・入賞確認・ランプ動作試験の実行
- 液晶表示・音声・役物動作の個別チェック
機能別に「TEST」「SERVICE」「RESET」「VOLUME」など複数のボタンが存在する。
物理配置の設計基準
テストボタン位置は、整備作業時の安全性・操作性を確保するため、次の原則に基づいて設計される:
- 通常扉を開かない限り押せない内部位置に配置する。
- 指一本で操作可能な距離・高さ(床面から900〜1100mm)に設定。
- 誤操作防止のため、カバー付きや recessed(くぼみ)構造を採用。
- 複数ボタンを使用する場合は、明確にラベルを印字(TEST/SERVICE/RESET)。
筐体の形状やメーカーによって配置が異なるが、標準的にはメイン基板の右下または中央下部に実装される。
電気的構成
テストボタンは押下により基板の入力ピンをGNDに短絡させる単純なモーメンタリ接点方式を採用する。
回路的には以下のように構成される:
+5V ─┬─[Pull-up]─┬──→ CPU TEST_PIN││└─SW(TEST)───┘→ GND
押下時に入力信号が「Low」となり、CPUがテストモードへ遷移する。
ノイズ対策として0.1µF程度のコンデンサを並列に設け、チャタリングを抑制する。
安全対策と認証要件
風営法・電気安全法の観点から、テストボタンは次の基準を満たす必要がある:
- 扉開時以外に外部から操作できない構造であること。
- 絶縁距離・耐電圧が規定値を満たすこと。
- リセットやクリア操作が遊技データを不正に改変しないこと。
- 誤押下による電源断・通電復帰動作が発生しないこと。
また、認定試験時には、ボタン位置と識別ラベルが図面上で明示される。
保守と点検
テストボタンは頻繁に押下されるため、接点の摩耗や酸化による導通不良が起こりやすい。
定期点検時には以下を確認する:
- 押下時の反応遅延や断続的な導通不良
- 基板へのはんだクラック・ケーブル抜け
- ボタンキャップの破損・変形
異常がある場合は基板単位またはスイッチユニット単位で交換する。
最新設計動向
近年では、物理ボタンに代わりタッチセンサー式や光学式の「仮想テストボタン」が採用されつつある。
これにより、防水・防塵性能を確保しつつ、メニュー上から操作できるようになっている。
まとめ
テストボタン位置は、整備・検査の作業効率と安全性を左右する設計要素である。
押下構造・配置・ラベリングのすべてが、遊技機の法令遵守と信頼性を支える基準点となっている。
関連サイト:スリーピース技術ガイド
テストボタンの回路構成や配置基準の詳細は、グループサイト
スリーピースドットネット(ppps.jp)
の制御・基板設計ガイドで詳しく紹介しています。