テストモード設定とは
テストモード設定(Test Mode Configuration)とは、パチンコ機内部の検査・調整用プログラムを制御基板上で有効化するための設定体系を指す。
製造・整備・検定各段階で機能確認を行う際に利用され、遊技動作とは独立した内部モードとして構成されている。
テストモードの目的
テストモードは、主に以下の目的で使用される:
- 遊技回路・出玉制御・照明演出などの動作確認
- センサー・スイッチ系統の応答検査
- メイン/サブ基板間通信の信号確認
- ROM・RAM・EEPROMなどのメモリ検査
- 払出試験モード・演出テストモードへの遷移確認
これにより、基板や制御プログラムの整合性を安全に点検できる。
設定手法と構成
テストモードは、ハードウェアおよびソフトウェアの両面で設定が可能である。
主な設定方式は次の通り:
| 方式 | 設定方法 | 特徴 |
|---|---|---|
| DIPスイッチ方式 | 基板上のスイッチでON/OFFを選択 | 機械的で誤作動が少ない |
| ボタン長押し方式 | サービスボタンを一定時間押下 | 扉開閉不要で現場整備に便利 |
| ソフトメニュー方式 | 液晶メニューから選択操作 | 新型機に多く採用、項目数が多い |
これらは製造工程でのROM検査、ホール設置後の保守検査の双方に対応している。
設定項目の例
代表的なテストモード設定項目は以下の通り:
- LED・ランプ試験
- サウンド出力試験
- 各センサーON/OFF検出
- 賞球装置駆動試験
- スタートスイッチ応答
- ドアスイッチ状態確認
- 液晶パネル描画テスト
これらの項目はメニュー内で選択実行され、結果が表示または記録される。
操作シーケンス
典型的なテストモード操作の流れは次の通り:
- 電源OFF → DIPスイッチをTEST側に設定。
- 電源ON → 起動画面に「TEST MODE」表示。
- 各ボタンでメニュー項目を選択。
- 決定操作でテスト開始。
- 終了後、表示またはLED点灯で結果確認。
異常が検出された場合、エラーコードが表示され、再検査や修正作業に移行する。
メモリチェックと診断ロジック
テストモード内のメモリチェックでは、ROMのCRC一致・RAMの書込み読出し試験・EEPROMの破損検出を行う。
内部では以下の診断ロジックが実行される:
for each memory_block: write test_pattern read back and compare if mismatch → raise error_code
この結果に基づき、基板単位での交換・修理可否を判定する。
安全設計と誤操作防止
テストモードは、一般遊技中には絶対に起動しないよう安全設計されている。
制御条件は以下のように設定される:
- 電源投入時のみ有効(遊技中切替禁止)
- リール・役物制御は強制停止状態
- 出玉制御信号は無効化(ホッパー未通電)
- 設定解除時に自動的に通常モードへ復帰
これにより、遊技状態を損なわずに整備作業を行うことができる。
ログと履歴管理
最新機種では、テストモードの実行履歴がEEPROMまたはSDカードに自動記録される。
記録項目は以下の通り:
- 試験実行日時
- テスト項目コード
- 結果(PASS/FAIL)
- 実行者ID(認証対応機のみ)
これにより、製造・整備・ホールでの管理データを統合でき、追跡性が向上している。
次世代テストモード
近年は、ネットワーク接続による「リモートテストモード」が開発されつつある。
LAN経由で機器情報を取得し、サーバー側で動作診断を実施する方式である。
クラウド化により、遠隔地からの保守・統計解析も可能になっている。
まとめ
テストモード設定は、制御基板や遊技プログラムの健全性を確認するための中核機能であり、
安全・正確な動作を支える品質保証の根幹である。
今後はリモート監視・自動解析といった新技術との統合が進み、保守効率がさらに高まると考えられる。
関連サイト:スリーピース技術ガイド
テストモード設定や診断システムの構造解説は、グループサイト
スリーピースドットネット(ppps.jp)
の制御・基板セクションで詳しく紹介しています。