ホッパーセンサーとは何か|技術・構造白書

ホッパーセンサーとは

ホッパーセンサー(Hopper Sensor)とは、スロット機やメダル遊技機において、ホッパー内部のメダル残量や払い出し状態を監視するための検出装置である。
ホッパーモーターの制御や払い出し完了判定に直結するため、正確な動作検出と応答性が求められる。

構造と検出原理

ホッパーセンサーは、回転ディスクまたはスリットホイールと一体化して配置され、メダルの通過やモーター回転を光学的に検出する。
主な検出原理は以下の通り:

  • フォトインタラプタ式: スリット通過時に光を遮断し、パルス信号を出力。
  • 反射型光学センサー: メダルの反射光を検知して払い出しをカウント。
  • 磁気センサー式: モーター軸またはギアの磁極変化を検出。

これらの方式は、用途や設置スペースに応じて選択される。

ホッパーセンサーの役割

  • 払い出しメダルのカウント制御(枚数検知)
  • モーター回転状態の監視
  • 残量低下時の警告出力(EMPTY信号)
  • 異常詰まり検知・モーター停止制御

センサー信号は制御基板のI/Oポートに入力され、CPUがパルス間隔をもとに払い出し速度を制御する。

信号構成と制御シーケンス

ホッパーセンサーから出力される信号は一般にオープンコレクタ出力であり、1枚通過ごとに1パルスを発生する。
CPU側では以下のロジックで処理される:

① ホッパーモーター駆動開始  ② センサーからのパルス入力を監視  ③ 指定枚数分のパルス受信で停止  ④ パルス停止が一定時間続いた場合、詰まりエラー発報  

これにより、機械的トラブルを即時に検知できる。

メンテナンスと点検

ホッパーセンサーは粉塵やメダル粉によって感度が低下するため、定期的な清掃が必要である。
以下の点検項目を基準とする:

  • 発光・受光部の汚れ除去(無水アルコール使用)
  • パルス波形の整形確認(オシロスコープで1.8〜5V)
  • センサー位置のズレ・傾き点検
  • コネクタ緩み・ケーブル断線確認

誤検出が多発する場合、光軸調整や交換が必要となる。

異常検出とエラー処理

主な異常状態とエラーコード例:

異常内容原因エラー表示
パルス未検出センサー断線・位置ズレE-51
連続パルス粉塵付着による誤検出E-52
モーター停止異常ギア固着・詰まりE-53

CPUは異常信号を受けると払い出し制御を停止し、ランプ点滅または音声で報知する。

最新技術動向

新型ホッパーでは、光学+磁気のデュアルセンサー方式が普及し、払い出し枚数の誤差が±0.1%以下に抑えられている。
また、センサー内に自己診断回路を内蔵し、異常を自動判定してメンテナンス時期を通知するスマート制御方式も実装されている。

まとめ

ホッパーセンサーは、出玉制御・安全監視・メンテナンス性の中心を担う高精度検出装置である。
その正確な動作が、払い出しの信頼性とプレイヤー体験の一貫性を支えている。

監修:野口智行(有限会社グローバルスタンダード)
この記事は「技術・構造白書」シリーズの一部として、電装・制御基板領域におけるホッパーセンサー技術を専門的に整理したものです。