ART制御とは
ART(Assist Replay Time)制御とは、パチスロ機においてリプレイ確率を制御し、一定時間の出玉増加を実現する内部プログラム構造である。
リプレイナビや押し順指示によってメダルの損失を防ぎつつ、特定役の入賞を誘導するため、
「出玉性能の制御」と「プレイヤー操作の演出」が密接に結びついている。
基本構造
ART制御は、主に以下の3層構成で設計されている:
- ARTモード管理層: ART突入/継続/終了の判定。
- リプレイ制御層: 押し順ナビ・リプレイ確率制御。
- 報知・演出層: 液晶・音声・ランプ制御連携。
これらの層はメイン制御ROM内で連携し、抽選結果に応じて状態遷移を行う。
ARTモードの仕組み
ARTモードは内部的に「通常状態」と「ART状態」に分かれる。
メイン制御ROMでは、ARTフラグが立った時点で次の処理が実行される:
ART_FLAG = 1→ リプレイ確率を上昇(1/7 → 1/1)→ 押し順ナビテーブルを有効化→ 演出モード切替(専用BGM・液晶背景)
ART状態中は、一定ゲーム数または特定小役当選によってモードが延長・終了する。
押し順ナビ制御
押し順ナビとは、リプレイの有効ラインを成立させるためにプレイヤーに押し順を指示する仕組みである。
制御アルゴリズムは以下の通り:
- 押し順信号(L→C→Rなど)をサブ基板へ送信。
- 液晶・音声・ストップランプに同期して表示。
- 押下順が一致した場合のみリプレイ入賞を許可。
この方式により、内部的なリプレイ成立をユーザー操作に依存させ、
演出をゲーム性として成立させている。
リプレイ確率制御
通常時とART中では、リプレイ抽選テーブルが異なる。
代表的な設定例:
| 状態 | リプレイ確率 | 抽選テーブル |
|---|---|---|
| 通常時 | 1/7.3 | TABLE_NORMAL |
| ART中 | 1/1.0(保証) | TABLE_ART |
ART突入時には、メイン制御ROM内の乱数処理がARTテーブルに切り替わり、
リプレイ成立を強制的に発生させることで「継続感」を演出している。
通信・同期制御
ART制御は、メイン基板・サブ基板・液晶基板間で複数の同期信号によって構成される。
通信プロトコルの例:
CMD_ART_START (game=50)CMD_NAVIGATION (pattern=3)CMD_ART_END (result=bonus)
これらのコマンドはUARTまたはSPI経由で送信され、
各演出デバイスが同時に状態を更新する。
演出連携
ART制御は「状態変化を感じさせる演出設計」と密接に関係する。
代表的な同期要素:
- ART突入時:専用BGM再生+ランプ全点灯
- ART継続時:背景アニメーションループ
- ART終了時:BGMフェードアウト+リール減速
これらはメイン制御基板からサブ制御基板へ発信される「ART演出フラグ」により制御される。
安全設計と検定対応
ART制御は「出玉率上限(240%未満)」を遵守するため、
ゲーム数上限・継続率・ストック数がすべてソフトウェアで制限されている。
また、検定ROMではART突入率・平均継続数を固定し、
設定差による上乗せ抽選は完全独立構造で管理される。
整備・点検項目
中古整備時には、以下の確認が重要となる:
- ナビランプ点灯テスト(PWM制御の断線確認)
- ART突入演出の同期確認(音声ROM/液晶基板)
- 通信ラインのエラー率測定
- 乱数テーブルCRCチェック
ART基板間通信が途絶すると、遊技停止信号が発生するため、
再起動処理で復帰する設計になっている。
次世代技術
近年では「AI補正ART制御」が試験導入されており、
プレイヤーの押し順傾向や遊技リズムに応じてナビ出現率を動的に調整する研究も進んでいる。
ただし、現行法規では確率操作を伴う動的制御は禁止されており、
実機ではあくまで演出レベルにとどまっている。
まとめ
ART制御は、リプレイ確率・押し順制御・演出同期を統合した高度なプログラム構造である。
この技術によって、パチスロ機は出玉性能と演出体験を両立させ、
従来のAタイプを超える多層的な遊技性を実現している。
関連サイト:スリーピース技術ガイド
ART制御のプログラム構造・通信設計・検定基準の詳細は、グループサイト
スリーピースドットネット(ppps.jp)
のソフトウェア制御ガイドで詳しく紹介しています。