ホール設置用ブラケットとは何か|技術・構造白書

ホール設置用ブラケットとは

ホール設置用ブラケット(Hall Installation Bracket)とは、パチンコ・スロット機を遊技ホールの島設備や設置ラックに固定するための金属支持構造部品を指す。
安全な設置・転倒防止・整備時の脱着性を両立させるために設計された、筐体取り付けの要となる機構である。

構造と材質

ブラケットは筐体背面または底部に取り付けられ、設置台との連結を担う。
主な仕様:

  • 材質:SPCC鋼板(t=2.0〜3.2mm)またはアルミ押出材
  • 表面処理:溶融亜鉛メッキ/黒色電着塗装
  • 構造:L型・U型・スライド可動型
  • 固定方式:ボルト固定・ロックピン・クイックレバー式

高耐荷重仕様では最大150N(約15kgf)までの引張荷重に耐える。

設置位置と役割

  • 上部ブラケット:筐体吊り下げ・転倒防止
  • 下部ブラケット:位置決め・荷重支持
  • 補助ブラケット:振動吸収・背面安定保持

筐体の重心バランスを考慮して、ブラケットは左右対称または中心線上に配置される。

取付手順

  1. 島設備側のレールにブラケットガイドを差し込み。
  2. 筐体背面のフックピンをガイドに合わせてスライド固定。
  3. 下部ストッパーで位置決め後、ボルトまたはロックピンで固定。
  4. ケーブル類を接続し、水平・傾斜を確認。

取り外し時は逆順操作で約30秒〜1分で脱着可能。

安全基準と規格

設置ブラケットは以下の安全基準を満たす必要がある:

  • 転倒強度:水平荷重200Nに耐える
  • 衝撃試験:3回の振動衝撃後も位置ずれなし
  • 耐腐食性:塩水噴霧試験48時間で錆発生なし
  • 構造検査:溶接部の破断・変形なし

JIS Z 2371(防錆試験)およびJIS B 9706(機械的安全)に準拠。

整備と交換性

ブラケットは長期使用による摩耗や塗装剥離が発生するため、定期点検が推奨される。
交換時の留意点:

  • ボルト緩み・ピン摩耗の確認
  • ロック機構の作動チェック
  • 錆・腐食部の防錆再塗装
  • 機種変更時の互換ブラケット選定

ブラケットはメーカー間で共通化が進み、標準取付ピッチ100mm/150mm仕様が一般的。

最新技術動向

新型筐体では、脱着時に工具を使用しない「クイックロックブラケット」が主流化している。
また、センサー内蔵型ブラケットが登場し、設置状態を自動検知して転倒防止エラーを制御基板に通知する仕組みも実装されている。

まとめ

ホール設置用ブラケットは、安全・整備性・汎用性を兼ね備えた設置機構である。
設計精度と耐久性を確保することで、遊技機全体の安定稼働と保守効率を高めることができる。

監修:野口智行(有限会社グローバルスタンダード)
この記事は「技術・構造白書」シリーズの一部として、役物・筐体構造領域における設置ブラケット技術を専門的に整理したものです。