序章:LT機を支える「一種二種混合機」という土台
2024年以降、ラッキートリガー(LT)搭載機をはじめとする最新パチンコ機の大半は、「一種二種混合機」という遊技機規則上の構造を採用している。
この構造こそが、「通常時(低確率)」と「RUSH時(高継続・高出玉)」で、抽選ロジックや出玉性能を意図的に分離設計することを可能にする技術的・法的根拠である。
一種二種混合機とは、単なるメーカーの発明ではない。
遊技機規則が公式に定義した抽選構造のフォーマットであり、すべてのLT機・RUSH機の設計図といえる。
つまり、これは“技術”であると同時に、“法律で定められた設計思想”なのだ。
第1章:抽選の絶対構造 — 特図と普図の「法的な役割」
一種二種混合機の根幹は、「特別図柄(特図)」と「普通図柄(普図)」という、完全に分離された二系統の抽選機構にある。それぞれの機構が、異なる確率・目的を持ち、互いに補完しながら遊技を成立させている。
| 抽選機構 | 法的な役割と位置づけ | 抽選確率設計の事実 |
|---|---|---|
| 特図1(通常時) | メイン抽選。初当たりを担う。低確率(例:1/319.9)を設定することが義務化。 | 通常時の出玉性能を制御。 |
| 特図2(RUSH時) | 電チュー入賞時に行われる高確率抽選。特図1とは別確率で設計可能。 | 高継続RUSHの中核。例:1/4~1/30。 |
| 普図 | 電チュー開放のための抽選。出玉には関与せず、遊技進行を制御。 | 任意確率(例:1/1〜1/2)を設定可。 |
【事実①:特図1と特図2の分離の「意義」】
遊技機規則では、特図1と特図2を別個の確率・出玉振り分けで設計することが明確に認められている。
そのため、通常時では重い確率(1/319.9)で初当たりを設定し、RUSH中は軽い確率(1/30前後)で連チャンを演出することが可能となる。
これは単なる設計テクニックではなく、法に基づく“構造上の自由”である。
【事実の裏側:TY値(短期出玉率)の絶対的な支配力】
LT機を語る上で欠かせないのが「TY値(短期出玉率)」だ。TY値とは、1回の大当たりで平均してどれだけの出玉を出せるかを示す、法律上のリミッターである。
LT登場前のミドル機ではTY値の上限は約6,400個だった。だがLT機では、LT突入時のTY値を約9,600個未満まで拡張できるようになった。この緩和により、一撃性能と継続性能の“両立”が可能となった。
つまり、TY値こそがLT機の設計自由度を支配する「絶対的技術特権」である。
第2章:RUSH継続の技術的真実 — 「二段階抽選」と普図制御
一種二種混合機のRUSHは、単純な「連チャン確率」では説明できない。その真の核心は、普図を介した“二段階抽選”という技術構造にある。
【RUSH中の基本フロー】
- 遊技者が右打ちを開始。玉がゲート(普図抽選口)を通過。
- 普図抽選が行われ、当選すると電チューが短時間開放。
- 電チューに玉が入賞すると、特図2の大当り抽選が実行される。
この構造により、遊技者は「普図」→「特図2」の順で抽選を受ける。見た目は高速連チャンだが、実際には二段階の抽選制御によって成立しているのだ。
【事実②:普図抽選が「継続率の体感」を司る】
特図2の確率が1/30でも、普図抽選の確率と開放時間を操作することで、実質的なRUSH継続率は大きく変化する。この制御こそが、RUSH中のテンポや当たりの“リズム”を決定づける。
【普図制御の「設計上の限界」とホールの意図を読む力】
RUSH継続を支える普図抽選を実現するために、玉が通過する「普図入賞口周辺」は、ホールによる釘調整の焦点となりやすい。
わずかな釘の開閉が、普図入賞の頻度を変え、結果的にRUSH継続率そのものを物理的に変化させる。
つまり、構造を理解していれば、ホールの営業意図を盤面から“読む”ことができる。
構造理解は、単に理論を知ることではない。ホールの戦略を“数値で視る”力こそ、上級プレイヤーの武器である。
第3章:LT機の構造的位置づけと高出玉の真実
LT(ラッキートリガー)は、一種二種混合機の構造的自由度を最大限に引き出した発展形だ。LTは新構造ではなく、制度的チューニングによって成立している。
- LT発動時: 特図2の平均TY値上限が約6,400個 → 約9,600個未満に拡張。
- 抽選構造: 特図1 → 普図 → 特図2 のフロー自体は不変。
- 構造制限: 全平均期待出玉(初当たり含む)は3,200個未満に抑制。
【事実③:LTは構造の最適化である】
LTは「確率の魔法」ではない。
法規が許す上限値を最大限に活かした技術的最適化である。メーカーはこの範囲で、出玉・継続・演出を極限まで調整している。
【規制のバランス思想】
LTシステムは、射幸性を単に高める制度ではない。「一撃性能(TY上限)」と「全体バランス(平均出玉制限)」の両立により、リスクと快感の境界線を定義し直した制度設計の成果といえる。
結論:勝ち方は「構造」を理解し、「リスク」を数値化することから始まる
現代パチンコ、とくにLT機時代の勝敗は、構造理解の深さによって分かれる。
構造の事実と攻略への示唆
- LTは特図2のTY値の拡張。 高TYを得るには、通常時の重い確率=リスクを許容する必要がある。
- 普図による二段階抽選。 RUSHの安定性は普図制御に依存し、釘調整(ベース)を読む洞察力が鍵を握る。
- 全平均TY値の制限。 LT突入率がそのまま、「到達期待投資額」というリスク指標を形成する。
【「構造」理解こそが「思考法」の根拠となる】
前回の記事で解説した「LT時代の勝ち筋3原則」、特に「投資限界額の設定」という思考法は、この一種二種混合機の構造的リスクから必然的に導かれる。
構造を知るとは、確率を“感覚”ではなく“数値”として捉える力である。それこそが、思考法=理性で勝つ戦略の唯一の実装手段だ。
構造と思考。この二つを兼ね備えた者こそが、LT時代を制する真のプレイヤーである。
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※本記事の内容は遊技理論の解説を目的としたものであり、特定機種・ホールの推奨を行うものではありません。風営法および各自治体の遊技規則に基づいた正しい遊技を推奨します。