釘テンプレートとは
釘テンプレート(Pin Template)とは、パチンコ機の遊技盤面における釘(ピン)配置を正確に再現・調整するための金属または樹脂製治具である。
遊技機検定において定められた基準形状を維持する目的で使用され、釘打ち作業や再調整の際に参照される。
基本構造
釘テンプレートは、盤面上の釘穴位置を正確に示すためのプレート状の治具であり、
以下の要素から構成される:
- ベースプレート(ステンレスまたはアルミ合金)
- 釘位置孔(精密ドリル加工による貫通孔)
- 位置基準ピン/外形基準枠
- 刻印番号・釘種別マーク
厚さは1.0〜2.5mmが一般的で、±0.05mmの位置精度で製作される。
用途と役割
釘テンプレートは、次の工程で使用される:
- 製造時の釘打ち基準(初期組立時)
- 品質検査(検定機基準再現)
- リユース時の再釘調整(再整備工程)
特に検定通過後の釘位置は「基準ゲージ」として登録され、ホール設置後の改造防止・遊技性維持のための重要な記録となる。
製造工程
釘テンプレートの製造は以下の工程で行われる:
- CAD設計による釘配置データ作成。
- レーザー切削またはCNCマシニングによる穴加工。
- 表面研磨とバリ取り。
- 基準穴検査(CMM三次元測定機による位置精度確認)。
このとき、釘位置データは遊技盤の正式図面(ゲージ盤図)と1/100mm単位で一致する必要がある。
釘テンプレートの種類
機種・メーカーごとに複数種類が存在する:
- 全体テンプレート: 盤面全域の釘位置を網羅。
- 部分テンプレート: スタートチャッカーや風車周辺など特定エリアのみ。
- 検定ゲージプレート: 公的検査機関用の基準板。
一般的に、全体テンプレートは製造工場専用であり、市販・外部流通は行われない。
調整・測定方法
釘テンプレートを使用して釘位置を確認する際は、
プレートを盤面に密着させ、孔位置と釘頭の中心を比較する。
偏差は次の基準で評価される:
| 偏差範囲 | 判定 |
|---|---|
| ±0.1mm以内 | 許容範囲(基準一致) |
| ±0.2mm | 調整推奨 |
| ±0.3mm以上 | 要修正・再打ち |
この作業は高精度を要するため、拡大鏡や画像測定器を併用する場合もある。
材質と耐久性
釘テンプレートには繰り返し使用される耐久性が求められる。
材質別の特徴は以下の通り:
- ステンレス製: 高剛性・高精度。長期使用可。
- アルミ製: 軽量・取り扱い易いが変形しやすい。
- POM樹脂製: 安価・傷つきにくいが精度は劣る。
工場ではステンレス製が標準採用される。
管理・保守
釘テンプレートは、検定用データと紐付けて管理される。
保管時は変形・温度変化を避け、フラット状態を維持する。
管理票には次の情報が記録される:
- 機種名/製造ロット/テンプレート番号
- 製作日・測定結果
- 担当者サイン・再検査履歴
テンプレートが変形・磨耗した場合は再測定し、再発行処理を行う。
リユース時の再整備
中古盤面の再釘調整を行う場合、釘テンプレートは最も正確な基準資料として利用される。
再整備工程では、盤面の木材膨張や経年変化を考慮し、位置補正を行う。
また、ホール設置前点検時には、テンプレート基準に対する偏差報告が行われる。
次世代技術
現在では、3Dスキャンによる釘配置データ取得が可能となり、
物理テンプレートを用いずにデジタル比較が行われるケースも増えている。
これにより、釘配置の自動認識・偏差検出が高精度に実現されている。
まとめ
釘テンプレートは、遊技盤の精度と公平性を守るための基準治具である。
その存在は、製造品質・検定制度・リユース整備のいずれにおいても不可欠であり、
「盤面の正確さ」を保証する最終的な物理基準として機能している。
関連サイト:スリーピース技術ガイド
釘テンプレートの設計・測定・整備基準の詳細は、グループサイト
スリーピースドットネット(ppps.jp)
の機構精度管理ガイドで詳しく紹介しています。