盤面プレートとは
盤面プレート(Playfield Plate)とは、パチンコ機の遊技盤前面に設置される透明保護板のことを指す。
遊技球を保持する盤面を外部から保護しつつ、光演出やデザインの表示面としても機能する。
主にポリカーボネート(PC)またはアクリル(PMMA)製であり、
機構安全と演出効果を両立する重要な構造部品である。
構造と役割
盤面プレートは、以下のような多層構造を持つ:
- 前面保護層(透明PCまたはPMMA)
- 印刷層(シルク印刷・UV印刷によるデザイン)
- 裏面拡散層(光拡散・導光機能を付与)
これにより、盤面の保護・演出光の拡散・デザイン表現を一体化している。
素材と特性
盤面プレートの素材は、透明性・耐衝撃性・耐熱性のバランスを考慮して選定される。
| 素材 | 特徴 | 用途例 |
|---|---|---|
| ポリカーボネート(PC) | 耐衝撃性・難燃性に優れる | 現行主流のプレート素材 |
| アクリル(PMMA) | 高透明・軽量だが割れやすい | 旧型機や意匠プレートに使用 |
| PET-G | 加工性に優れる中間素材 | 試作・小ロット生産機種 |
PC素材は厚み2〜4mmが標準で、UVカット処理や防傷コーティングが施される。
固定構造と設計
盤面プレートは、筐体フレームにボルトまたはクリップで固定される。
固定方式は機種ごとに異なるが、以下の設計要件が共通する:
- ボルト間隔:100〜150mm間隔で配置。
- クッションラバーを介して応力分散。
- 衝撃吸収性を考慮したクリアランス設計。
また、液晶やLED導光部の発光を妨げないように光路設計が施されている。
光学的機能
盤面プレートは単なる保護板ではなく、光学的な拡散・導光機能を持つ。
代表的な技術例:
- 裏面ドットパターン加工による導光設計。
- レーザー彫刻による発光パターン形成。
- 微細拡散層による均一な照明効果。
- 金属蒸着フィルムによる反射演出。
これにより、電飾パターンと連動した光演出がより立体的に表現される。
安全設計と規格
盤面プレートは、遊技球の衝突に耐える強度が必要である。
安全基準として以下が設定されている:
- ボールインパクト耐久:2J以上(3mm厚PC基準)
- 耐熱変形温度:120℃以上
- 自己消火性(UL94 V-2相当)
- エッジ部の面取り加工(接触安全)
また、ホール設置時には透明度・視認性を損なわないことが求められる。
印刷と意匠設計
デザイン印刷はシルク印刷またはUVインクジェット方式で行われ、
耐候性・発色性・密着性を重視する。
意匠層には透明インクや金属調インクを用い、立体的な演出を実現。
特にロゴ部分や当たり演出部は、LED発光と同期させるため半透過デザインが採用される。
整備・清掃方法
盤面プレートの表面は静電気を帯びやすく、埃を吸着しやすい。
清掃時の注意点:
- アルコールや有機溶剤は使用しない(白化の原因)。
- 中性洗剤を薄めた布で拭き取り。
- 静電防止クロスまたはシリコンコート剤を使用。
- UV印刷部を強くこすらない。
また、割れやヒビがある場合は交換が原則となる。
リユース・再整備時の注意
中古整備時には、以下の劣化が多く見られる:
- 紫外線による黄変・くもり。
- 印刷層の剥離や退色。
- 表面の擦り傷。
軽度の曇りは研磨剤で再生できるが、視認性が損なわれる場合は新品交換が推奨される。
また、LED発光ラインの導光損失が大きい場合は導光層を再施工する。
次世代技術
新型筐体では、ハードコート処理+AR(反射防止)コート付きプレートが採用されている。
さらに、一体型導光プレートを用いて液晶演出と光表現を融合させる
「統合光学フロントプレート構造」が主流となりつつある。
まとめ
盤面プレートは、保護機能・意匠表現・光制御を兼ね備えた複合構造部品である。
その品質は演出の美しさと耐久性を左右し、遊技機設計の中でも特に重要な役割を担っている。
関連サイト:スリーピース技術ガイド
盤面プレートの素材選定・導光設計・再整備技術の詳細は、グループサイト
スリーピースドットネット(ppps.jp)
の筐体設計技術ガイドで詳しく紹介しています。