遊技盤ユニット組立とは何か|技術・構造白書

遊技盤ユニット組立とは

遊技盤ユニット組立(Playfield Unit Assembly)とは、パチンコ機の盤面部を構成する各要素—釘盤、液晶ユニット、役物、センサー、電装ハーネスなど—を一体化し、筐体に装着可能な完成モジュールとして組み上げる工程を指す。
製造精度と整備性を両立するための要となる組立プロセスである。

構成要素

遊技盤ユニットは以下の主要部品群で構成される:

  • 木製または樹脂製の釘盤(基盤フレーム)
  • セル板(装飾・LED一体構造)
  • 役物ユニット(モーター・センサー付き)
  • 液晶パネルおよびバックライトモジュール
  • 入賞口ユニット・電チュー・アタッカー
  • 基板・コネクタ・配線ハーネス

これらをユニット単位で前面組立し、検査後に筐体へ装着する。

組立手順

  1. 釘盤にセル板と役物ユニットを仮固定。
  2. 液晶パネル・照明・電装部品を順次実装。
  3. ハーネス配線をルート図に基づき固定。
  4. センサー・スイッチ動作確認を実施。
  5. 外装パネルを組み付け、機構干渉をチェック。

組立完了後、電装検査・発射試験・演出テストを実施し、ユニットとして出荷される。

精度管理

ユニット組立では、構造精度と位置ずれ防止が重要である。
主な管理項目:

  • 役物取付位置公差:±0.3mm以内
  • 釘盤傾斜角:89.5〜90.5°
  • 液晶パネル垂直度:±0.5°以内
  • コネクタ圧着確認・トルク管理

測定にはデジタルノギス、レーザー水平器、トルクレンチを用いる。

ハーネスと電装実装

電装ハーネスは遊技盤裏面にレイアウトされ、以下の構造でまとめられる:

  • メイン基板→役物基板:10〜14ピンコネクタ接続
  • 電源ライン→ヒューズボード経由
  • 信号線束:結束径20mm以下、固定ピッチ100mm
  • 高電流系と信号系を分離(ノイズ対策)

実装後は導通試験・耐電圧試験(DC500V)が行われる。

検査工程

組立後には下記の検査を実施する:

  • 動作確認(発射・入賞・センサー応答)
  • 役物可動テスト(全動作10サイクル)
  • LED照明点灯確認
  • 表示演出同期テスト
  • 外観検査(傷・歪み・隙間チェック)

合格したユニットのみ最終組立工程(筐体装着)へ進む。

整備・交換性

ユニット構造は、メンテナンス時に盤面単位で脱着できるよう設計されている。
電装部品やセンサーはモジュール化され、サービス性を高めている。

交換時間の目安:標準盤で約8〜12分、液晶ユニット付きで15分前後。

最新技術動向

近年では、モジュール間通信をCANバス化した「スマートユニット構造」が採用されつつあり、
役物制御・照明・演出信号を1本化した省配線設計が主流となっている。
また、3Dスキャナによる自動組立支援システムも導入されている。

まとめ

遊技盤ユニット組立は、遊技機の機能と外観を統合する中核工程である。
精密組立・電装検査・サービス性の3要素を高次に統合することが品質向上の鍵である。

監修:野口智行(有限会社グローバルスタンダード)
この記事は「技術・構造白書」シリーズの一部として、役物・筐体構造領域における遊技盤ユニット組立技術を専門的に整理したものです。