賞球ストッパーとは
賞球ストッパー(Prize Ball Stopper)は、賞球(払い出し玉)が排出経路を通過する際に、
所定数を制御・保持・停止させるための機械構造である。
主に払出ユニットやアタッカー下部に組み込まれ、賞球数制御ICからの信号でソレノイド駆動により開閉する。
玉が流れるスピードと摩擦を考慮した設計が求められ、動作タイミングの精度が出玉制御全体の安定性に直結する。
基本構造
賞球ストッパーは、一般に以下の部品で構成される:
- ストッパーレバー(球を物理的に止めるアーム)
- 駆動ソレノイド(電磁吸引式アクチュエータ)
- スプリング(復帰力を付与)
- リミットセンサー(開閉状態検知)
- 支持プレート/樹脂ガイド(流路保持)
ストッパーレバーの先端が球通路に干渉する形で配置され、
ソレノイドの通電により瞬間的に退避して賞球を通過させる構造である。
動作原理
制御系統では、賞球数制御IC(または払出基板)が出玉カウントを行い、
設定数(例:3個・5個・10個)に達するとソレノイドOFF信号を出す。
これによりストッパーが復帰し、流路を閉鎖する。
[賞球通過検出] → [カウント] → [設定値到達] → [ソレノイドOFF] → [ストッパー復帰]
この一連の制御において、検出タイミングとソレノイド応答速度(通常20〜30ms)が重要である。
素材と設計要件
ストッパーレバーは、耐摩耗性・弾性回復性に優れた素材が選定される:
- ステンレス(SUS304)…耐久性・剛性重視
- POM(ポリアセタール樹脂)…静音性・軽量化
- ナイロン6+ガラス繊維混合樹脂…高応答型
また、流路内での球の衝突エネルギーを分散するため、先端部にはR形状やテーパー加工が施されている。
センサーとの連携
賞球ストッパーには、開閉状態を監視するリミットセンサーが取り付けられている。
このセンサー信号はメイン制御基板に送られ、動作異常(開閉不良)を検知した場合、
出玉制御を即時停止し、エラーコードを表示する。
誤検出を防ぐため、センサーにはノイズフィルタ(RC回路)とデジタルデバウンス処理が併用されている。
整備と点検のポイント
賞球ストッパーは動作頻度が高いため、定期点検が重要である。
主な点検項目:
- レバー軸の摩耗・がたつき
- ソレノイドの吸引音・応答遅延
- スプリングの張力低下
- 樹脂ガイド部の汚れ・玉カス詰まり
異音や玉詰まりが発生した場合、潤滑剤の過剰使用は厳禁。
POM樹脂は油分で膨張するため、乾式メンテナンスが原則である。
リユース・再整備時の留意点
中古再整備機では、ソレノイドコイルの絶縁劣化やストッパー軸の偏摩耗が頻発する。
これにより、吸引力低下や復帰不良が起こりやすい。
交換時は電圧仕様(5V/12V)とストローク量を確認し、互換部品を選定する必要がある。
安全・冗長設計
最新の賞球ストッパーでは、安全設計として二重ストッパー構造が採用される場合もある。
1系統が故障しても、もう一方が機械的に玉流を遮断する仕組みであり、
誤放出や連続排出を防止するためのフェイルセーフ構造となっている。
次世代技術
次世代の払出機構では、ソレノイドを用いず、静電アクチュエータやマイクロサーボによる静音開閉技術が研究されている。
また、賞球ストッパーの動作ログをセンサーICでモニタリングし、異常動作を早期検出する「スマート払出制御」も実装が進む。
まとめ
賞球ストッパーは、遊技機の「出玉の正確さ」を保証する重要な制御部品であり、
その動作精度はメイン制御と同等に重要である。
定期的なメンテナンスと適正な電圧制御が、安定稼働と検定適合を支える要となる。
関連サイト:スリーピース技術ガイド
賞球ストッパーの構造・整備・電磁制御の詳細は、グループサイト
スリーピースドットネット(ppps.jp)
の出玉制御技術ガイドで詳しく紹介しています。