賞球口とは何か|技術・構造白書

賞球口とは

賞球口(Prize Ball Outlet)は、遊技機において遊技球が入賞した際に「賞球」を排出するための機構である。スタートチャッカーや電チューなどの入賞口に連動し、賞球数制御回路の指令に基づいて払い出しユニットへ信号を送る。遊技の得点処理・出玉バランスを制御する重要な要素であり、物理構造と電子制御の両面で設計されている。

構造と動作原理

賞球口は、入賞検知センサー・導球レーン・ストッパー機構・払い出し信号出力端子で構成される。遊技球が入賞口を通過すると、フォトセンサーやマイクロスイッチが作動し、メイン基板に信号を送出する。基板側では賞球数制御ICがカウンタ演算を行い、モーターユニットに対して指定数の賞球排出を命令する。

構造的には、球通過時のスムーズな流れを確保するため、傾斜角度や表面摩擦係数が最適化されている。球の流路には静電気防止コートが施され、ホコリの付着を防止する設計が一般的である。

賞球制御と信号処理

賞球制御は、特図または普図の抽選結果に応じて賞球数を決定する電子制御系統によって行われる。制御信号はメイン基板内の賞球数制御ICが発出し、払出基板に送信される。信号伝達は数ミリ秒単位の同期で実行され、賞球排出量が規定値を超えないようフィードバック制御が行われる。

また、賞球ユニットの動作中に電圧降下や電流遮断が発生した場合には、自動停止リレーが作動し安全状態を維持するよう設計されている。

設計と素材の特徴

賞球口は遊技球が高頻度で通過するため、耐摩耗性と静音性を考慮した素材設計が行われる。主要材質にはPOM(ポリアセタール)樹脂やナイロン樹脂が用いられ、球の摩擦や衝突音を低減する。導球レーン部分には金属スリーブを組み合わせることで、形状変化や摩耗を防ぐ。

形状は球の直径(約11mm)に対して0.3〜0.5mmのクリアランスを持ち、通過抵抗を最小化。長時間稼働時の変形を防ぐため、補強リブを内部に配置する設計も多い。

技術的発展と安全対策

従来の賞球口は単純な物理通路だったが、近年ではセンサー内蔵型構造に進化している。これにより入賞検知精度が向上し、異物通過や重複カウントを防止する。さらに、球の詰まりを検知するジャムセンサーが追加され、エラー発生時に自動停止とアラートを発する設計も普及している。

ホール運用時の静電気対策として、導電材混合樹脂やアースライン接続が施されることもある。安全設計上、電源系統から絶縁された低電圧回路で駆動するのが標準仕様である。

中古・リユースにおける整備と検査

中古遊技機では、賞球口周辺の樹脂摩耗・センサー汚れ・球詰まりが多い。整備時には入賞検知の応答時間測定、導球レーン清掃、センサー出力電圧確認が行われる。特にホコリや油分の付着は検知精度を低下させるため、無水アルコールによる洗浄が推奨される。

また、賞球ユニットとの接続部コネクタの接触不良が原因で払い出し異常が起きる場合もある。再整備時には配線導通と接点抵抗を測定し、異常値が確認された場合は端子交換を行う。

まとめ

賞球口は、遊技球の入賞結果を正確に反映し、賞球制御と出玉管理を実現する中核的機構である。物理構造と電子制御の精度が融合した設計により、公正かつ安定した遊技を支える重要な役割を担っている。

監修:野口智行(有限会社グローバルスタンダード)
この記事は「技術・構造白書」シリーズの一部として、入賞・賞球制御機構の構造と動作原理を専門的に整理したものです。