サブリールとは何か|技術・構造白書

サブリールとは

サブリール(Sub Reel)は、パチスロ機において主リールとは独立して回転・停止する補助リールのことを指す。
通常の3リール構成の外側や上部に配置され、演出・期待度示唆・ボーナス契機表示などに利用される。
「演出リール」「装飾リール」と呼ばれることもあるが、正式には制御基板によって個別に動作する独立ユニットである。

構造と基本原理

サブリールは、主リールと同様にステッピングモーターで駆動されるが、
停止制御は抽選結果とは無関係で、主に演出基板(またはサブ制御基板)によって制御される。
内部構成は次の通り:

  • サブリールモーター(ステッピングまたはブラシレスDC)
  • リールシャフト・リール軸受構造
  • ホールセンサー/フォトセンサー(回転検出)
  • LEDバックライト・装飾照明
  • リールシート(演出用デザインフィルム)

これらが一体構造で筐体前面に配置される。

制御系統と信号構造

サブリールはメイン制御基板ではなく、演出制御用の「サブ制御基板」から信号を受け取る。
主な制御信号は以下の通り:

STEP:ステップパルス(回転制御)DIR :回転方向(CW/CCW)ENABLE :駆動許可信号SYNC:主リール同期用信号(任意)

この構成により、主リールの停止に合わせた「装飾的回転演出」や「リーチ連動動作」が可能となっている。

主リールとの違い

主リールは抽選結果表示に直接関係するのに対し、
サブリールはあくまで「演出補助」として動作する。
そのため、制御信号はメイン基板からの抽選結果とは非同期で、
完全に独立したスクリプト(演出テーブル)に基づいて制御される。

例として、特定演出中にサブリールのみ逆回転・高速回転・停止連動するなど、
視覚的インパクトを強調するために使われる。

光演出との統合

多くのサブリールには背面にRGB LEDバックライトが設置され、
リール透過印刷を利用して発光演出を行う。
これにより、単なる物理回転に留まらず、
「色・速度・同期パターン」による演出表現が可能になっている。

LEDはサブリール制御ICまたはPWMドライバで制御され、
回転タイミングに合わせて色が変化するようプログラムされている。

制御基板と演出連携

サブリールは通常、「演出制御基板」に接続され、
液晶制御チップ・音声ROMと同期して動作する。
通信はUARTまたはI²Cが使用され、
次のようなイベント連携が行われる:

  • リール回転開始 → サウンド再生 → 背景照明点灯
  • 停止直前 → 液晶演出切替 → サブリール停止
  • 大当たり確定時 → 特殊発光・同期演出

この複合制御により、サブリールは液晶演出の一部として機能する。

整備・点検のポイント

サブリールユニットの主な点検項目:

  • リール軸の摩耗・ガタ
  • モーター駆動時の異音(ベアリング劣化)
  • LED照明の色ムラ・点滅不良
  • 回転センサー出力波形の欠損

異常がある場合、ユニットごとの交換が一般的である。
センサーや照明は基板一体構造のため、個別修理は困難な場合が多い。

リユース・再整備時の注意

中古整備の際は、リールフィルムの貼り直し時にバランス崩れが発生しやすい。
わずかな偏重でも高速回転時に振動が発生するため、
リール円周の重量バランスを再計測して調整する必要がある。

また、照明用LEDが長時間の発熱により黄変している場合は、
新しいモジュールに交換するのが望ましい。

次世代化の動向

最新のサブリールは、機械式から「デジタルリール(LCDリール)」へ移行しつつある。
液晶上でリールを擬似的に描画することで、
無限に近い演出パターンや速度制御が可能となっている。
ただし、物理リール特有の慣性演出や立体感を重視するメーカーでは、
機械式サブリールを引き続き採用している。

まとめ

サブリールは、主リールに依存しない「演出専用駆動ユニット」として、
映像・音響・照明と連動する複合演出の核を担っている。
その制御精度とメカニカルデザインは、遊技機の印象を大きく左右する要素である。

監修:野口智行(有限会社グローバルスタンダード)
この記事は「技術・構造白書」シリーズの一部として、役物・筐体構造領域におけるサブリール制御技術を専門的に整理したものです。