通気孔とは
通気孔(Ventilation Hole)とは、パチンコ・スロット機の筐体内部にこもる熱や湿気を外部へ排出し、空気循環を確保するために設けられた開口部構造を指す。
電装機器の放熱・防湿・防塵のバランスを最適化するうえで、重要な筐体設計要素である。
通気孔の目的
- 内部温度の上昇を防止(熱対流促進)
- 湿度・結露の抑制
- 電子基板・モーター・LEDユニットの寿命延長
- 圧力変動による構造歪みの緩和
特に長時間稼働するホール環境では、通気設計が安全性と信頼性を左右する。
通気構造の基本設計
通気孔は「吸気口」と「排気口」をセットで設計し、空気の流れを確保することが原則である。
一般的な配置構成:
吸気口:下部背面または側面 排気口:上部背面または天面 → 自然対流またはファン併用による上昇気流を形成
通気経路は直線的かつ遮蔽物の少ない設計が望ましい。
開口形状と寸法基準
| 形状タイプ | 特徴 | 代表寸法 |
|---|---|---|
| 丸穴タイプ | 加工容易・汎用 | φ3〜φ8mm |
| スリットタイプ | 風量効率が高い | W3×H20mm ×複数列 |
| メッシュタイプ | 防塵効果を両立 | 開口率30〜40% |
| ルーバータイプ | 防滴・防塵対応 | 角度15〜30°傾斜 |
開口面積は筐体容積の1〜2%程度が標準とされる。
防塵・防湿対策
通気孔は外気導入部であるため、防塵・防湿処理が不可欠である。
主な対策:
- 防塵フィルター(不織布・フォーム材)
- 撥水メッシュ(PTFEメンブレン)
- 防湿コーティング(吸湿樹脂塗布)
- 気圧調整ベント(透湿性フィルム内蔵)
これにより粉塵侵入を防ぎつつ、通気性能を維持できる。
通気孔と放熱設計の連携
通気孔は冷却ファン・放熱板・筐体内部配線の位置と連動して設計される。
特に電源基板やLEDユニット周辺では、気流の導入方向と排気経路を一致させることが重要である。
CFD解析によって温度分布と気流パターンを可視化し、最小の開口面積で最大の冷却効果を得る設計が主流となっている。
メンテナンスと点検
通気孔の閉塞は熱暴走の直接要因となるため、定期清掃が必須である。
点検項目:
- フィルター詰まり・劣化の確認
- 異物・虫・ホコリの堆積除去
- ルーバー破損・変形の確認
- 排気流速測定(低下時は交換)
最新技術動向
新世代筐体では、静圧制御と防滴性を両立した「アクティブエアベントシステム」が導入されている。
湿度センサーと連携して通気孔の開閉を自動制御し、内部環境を常時最適化する仕組みである。
まとめ
通気孔は単なる開口ではなく、熱・湿度・防塵の三要素を統合した環境制御構造である。
正しい設計と保守により、電子機器の安定稼働と長寿命化が実現される。
関連サイト:スリーピース技術ガイド
通気設計・CFD解析・防湿ベント技術の詳細は、グループサイト
スリーピースドットネット(ppps.jp)
の筐体構造ガイドで紹介しています。