防振設計とは
防振設計(Vibration Isolation Design)とは、パチンコ・スロット機の筐体や内部ユニットに伝わる振動・衝撃を低減し、電子部品や構造体の損傷・誤作動を防ぐための設計技術を指す。
稼働環境や長期使用時の耐久性確保に不可欠な要素である。
防振設計の目的
- モーター・役物駆動による振動の吸収
- 輸送・設置時の衝撃緩和
- 電子基板・コネクタの疲労破断防止
- 遊技時の騒音・共振の低減
これにより、静粛性・耐久性・安全性の3要素が向上する。
主な振動要因
防振設計で考慮すべき振動源は以下の通り:
- モーター・ソレノイドの駆動反力
- スピーカー・サブウーファーの低周波振動
- 役物の開閉衝撃・バネ反発
- 外部からの床振動(設置面不均一)
これらの振動は複数周波数成分を持ち、構造共振を引き起こす要因となる。
防振材料と構造
主に使用される防振素材:
- 防振ゴム(天然ゴム・EPDM・ネオプレン)
- シリコンジェルダンパー
- ウレタン発泡材(吸音+防振複合)
- 金属スプリング+ダンパー複合機構
構造的には、ユニット間のフローティングマウントや、絶縁板+防振脚構造を採用する。
共振解析と最適化
防振設計では、構造共振を回避するためにFEM(有限要素解析)やモーダル解析が行われる。
解析によって固有振動数を特定し、主要振動源の周波数と重ならないよう設計する。
例:構造固有振動数 f₀ ≈ 70Hz → モーター駆動周波数 50Hz に対して Δf ≥ 15Hz
これにより、長期稼働時の疲労破壊を防ぐことができる。
取り付け部と実装例
- モーター固定部:ゴムマウント+スチールプレート
- スピーカー部:スポンジ+防振ブロック
- 基板固定部:シリコンワッシャ+緩衝ブッシュ
- 筐体脚部:独立防振ゴム脚+滑り防止パッド
これらの組み合わせで多方向の振動エネルギーを分散させる。
評価試験
防振性能は加速度センサーを用いて定量評価される。
主な試験項目:
- 振動伝達率(入力/出力加速度比)
- 共振ピークレベル測定
- 衝撃応答試験(ハンマリング試験)
- 耐落下衝撃試験(輸送時想定)
目標値としては、伝達率30%以下・共振倍率2倍以下が一般的基準である。
最新技術動向
新型機では、アクティブ防振技術(Active Vibration Control)が試験導入されており、加速度センサーとアクチュエータを組み合わせて逆位相制御を行う。
これにより、低周波振動をリアルタイムで打ち消すことが可能となっている。
まとめ
防振設計は、遊技機の静粛性と信頼性を向上させるための重要設計領域である。
材料工学・構造解析・制御技術の融合により、次世代の高耐久筐体が実現されつつある。
関連サイト:スリーピース技術ガイド
防振構造・共振解析・アクティブ制御技術の詳細は、グループサイト
スリーピースドットネット(ppps.jp)
の筐体構造ガイドで紹介しています。