ブレ防止ガイドとは何か|技術・構造白書

ブレ防止ガイドとは

ブレ防止ガイド(Anti-Vibration Guide)とは、パチンコ・スロット機内部においてリールや役物の動作時に発生する機械的振動や横ぶれを抑制するための構造部材である。
モーター駆動時の慣性・衝撃を吸収し、安定した動作と長期耐久性を実現する目的で設けられている。

構造と機能

ブレ防止ガイドは、可動軸やリンク機構を支持する樹脂・金属製パーツで、次の役割を持つ:

  • 軸受部のブレ抑制と中心保持
  • リールやギアの回転偏心防止
  • 役物動作時の衝突吸収と姿勢安定化
  • 全体フレームの共振低減

構造上は、スリーブガイド・U字ガイド・ラバーダンパ付きガイドなど複数の形式が存在する。

使用箇所と設計基準

  • リールユニット軸受部
  • 役物のスライドレール接点
  • モーター取付部のフレーム固定箇所
  • 払い出しユニットやローター回転軸周辺

設計時には、摩擦係数・耐熱温度・材質硬度が重要パラメータとなる。
一般的にはポリアセタール(POM)やポリカーボネートにグラスファイバーを混入した強化樹脂が使用される。

材質特性と振動吸収

材質特徴用途例
POM(ジュラコン)低摩擦・高剛性・耐摩耗リールガイド・回転軸サポート
ウレタンゴム衝撃吸収・静音性役物クッション・ストッパー
アルミダイキャスト高精度・熱安定性高負荷機構の支持フレーム

複合設計により、剛性と弾性を両立させたハイブリッド構造も増えている。

振動解析と最適化

設計段階では有限要素法(FEM)を用いて、駆動振動・共振周波数・ねじりモードを解析する。
特に、回転体の偏心や駆動ベルトのテンションが引き起こす横ぶれを抑制するため、ガイド剛性と取り付け位置の最適化が行われる。

経年変化とメンテナンス

ブレ防止ガイドは長期使用により摩耗・樹脂疲労・ネジ緩みが発生するため、定期点検が推奨される。
以下の兆候が見られた場合は交換対象とする:

  • 可動部で異音や引っ掛かりが発生
  • ガイド表面に摩耗痕・段差・割れが確認
  • 取り付け部のネジが緩み、振動が増大

定期的な潤滑と清掃により、摩耗進行を抑えられる。

次世代技術

最新モデルでは、炭素繊維強化樹脂(CFRP)や高分子エラストマーを使用した軽量・高減衰ガイドが採用されている。
さらに、内蔵センサーで振動を検知し、異常共振を自動補正するスマートガイド構造の研究も進んでいる。

まとめ

ブレ防止ガイドは、機械的安定性を確保するための不可欠な支持構造である。
振動を制御することで演出精度・動作寿命・静粛性を高め、遊技機全体の品質向上に寄与している。

監修:野口智行(有限会社グローバルスタンダード)
この記事は「技術・構造白書」シリーズの一部として、役物・筐体構造領域におけるブレ防止ガイド技術を専門的に整理したものです。