アウト口とは何か|技術・構造白書

アウト口とは

アウト口(Out Port)は、パチンコ機において遊技球が盤面上の各経路を通過したのちに最終的に排出される部分である。入賞しなかった球はすべてアウト口へ流れ込み、アウト通路を通じて回収タンクまたは循環ホッパーへ送られる。外観上は単純な開口部だが、球流制御と機構安全の観点から精密な設計がなされている。

構造と配置

アウト口は、盤面下部中央付近に位置し、金属または樹脂製のガイドレーンによって球を誘導する。構成部品は以下の通り:

  • アウトレーン(導入ガイド)
  • 排出口(開口部)
  • 球検知センサー(フォトセンサーまたはリミットスイッチ)
  • 球落下路(排出ダクト)
  • ホッパー接続ジョイント

球がアウト口を通過すると、センサーが反応して球の通過数をカウントし、回収経路へ送球する。

球流制御と流速設計

アウト口の流速は、遊技球がスタートチャッカーなどから外れた位置から落下する際の角度と速度に基づいて設計される。球速が速すぎると反発や詰まりが発生し、遅すぎると排出効率が低下する。そのため、ガイドレーンには微細な傾斜と滑面加工が施され、一定の流速で排出されるよう制御されている。

近年では、静電気防止処理を施した樹脂レーンを採用し、球の静止や逆流を防止している。

検知センサーと制御連携

アウト口には、球通過を検知するためのセンサーが搭載されている。主な検知方式は以下の2種類:

  • フォトセンサー方式: 赤外線の遮断で通過を検知。非接触・高耐久。
  • マイクロスイッチ方式: 球がレバーを押し込むことで接点を閉じる。旧式機で使用。

センサー出力はメイン基板または払出制御基板に送信され、球の流量管理や異常検知に利用される。例えば、一定時間内に通過球が検知されない場合、球詰まりアラートが作動する設計もある。

安全・メンテナンス設計

アウト口は遊技中に常時動作しているため、清掃・点検が非常に重要である。埃や樹脂粉が蓄積すると球の通過精度が低下し、センサー誤作動を引き起こす。定期整備では以下の作業が推奨される:

  • 球通路の清掃(エアブロー+乾拭き)
  • センサー受光面のクリーニング(無水アルコール)
  • 落下レーンの固定状態確認(ネジ緩み・ガタつき防止)

また、メンテナンス中に誤ってセンサー線を引っ張ると断線しやすいため、取り扱いには注意が必要である。

リユース機整備と交換

中古・リユース機では、アウト口の摩耗やガイドの変形が頻発する。球が引っ掛かる・跳ね返るなどの現象がある場合は、レーン交換または研磨再処理が必要である。フォトセンサーが経年で光量低下を起こす場合もあるため、発光/受光ユニットのペア交換が推奨される。

設計進化と電子化

最新機では、アウト口検知信号をメイン基板が直接監視し、遊技状態とリンクさせている。これにより球流解析やジャム検知をソフトウェア的に行うことが可能となり、サービス性が向上している。さらに、AI解析に基づく球流モニタリング機能を備えた機種も登場している。

まとめ

アウト口は、単なる排出口ではなく「球流監視の最終センサー」であり、遊技全体の信頼性に直結する要素である。正確な球流制御・定期清掃・センサー点検が、遊技機の安定稼働を支える基本である。

監修:野口智行(有限会社グローバルスタンダード)
この記事は「技術・構造白書」シリーズの一部として、役物・筐体構造領域における球排出構造を専門的に整理したものです。